武漢封鎖の効果

中国・武漢市で発生し、世界各地への感染拡大が止まらない新型コロナウイルスですが、中国政府は1月22日、それまでに17人が死亡し500人以上が感染(当局発表)した新型コロナウイルスの感染拡大の中心地となった武漢市を封鎖すると発表しました。

 

現地時間の1月23日午前10時の段階で、同市からの航空機の出発便運行は停止され、高速鉄道も同市から東に約800kmの上海行きをはじめ、市外へ向かう列車のすべての運行を停止しました。
バスターミナルおよび道路も封鎖されているため、つまり形式上は、人の出入りは一切不可能ということになります。

 

 

武漢市は人口1,100万人を有する中国中部地域最大の都市であり、そして複数の高速道路が通っており、国際空港があり、地球上で最大規模の鉄道輸送システムを抱える交通のハブとなっています。
また、長江と漢江も同市には流れており、地図を一見しても武漢市を封鎖するのは不可能のように思われます。
道路封鎖により自動車やトラックの出入りを規制することはできるかもしれませんが、しかし、徒歩の人間に対してはそれほど効果を発揮するとは思えません。

 

それにウイルスは、すでに世界的に拡大してしまっており、意に沿わない強制的な封鎖は実行が難しく、逆効果になるのではないかと危惧する声もあります。
本当に必要なことは、武漢の人々に納得してもらい、しっかりサポートされていると感じてもらうことで、そうでなければ人々は従わず、少なくとも混乱が起きてしまうでしょう。
最悪の場合は、隔離された武漢市内での感染拡大によって事態が悪化する可能性も考えられます。

 

 

なお公衆衛生の専門家の間では、隔離(封鎖)が効果的であるという実証はほとんどなされておらず、よくてもアウトブレイク(爆発的大流行)の発生をわずかに遅らせられる可能性があるだけで、感染の拡大を止められる可能性は非常に低いと考えられています。

 

 

また、感染が制御できず伝染が拡大していった場合、中国の他都市や海外にも急速に広がるでしょう。
中国でアウトブレイクが起きると予測されている都市は、上海、北京、広州、重慶、成都など主要都市で、また海外では、旅行を通して、タイ、日本、台湾、香港、韓国に感染拡大するリスクがあると指摘しています。